研修医さんと新たな体験②
付け替えた場所からジンジンとした痛みが走ったが、耐え切れない程の痛みではなかった。左足の指先が目で見て無いことが確認出来たのに、頭の中では足の指や足の甲、踵まであるような感覚があるのが不思議だった。後から看護師さんに聞いたのだが、このような錯覚を「幻昼肢」と呼ぶらしい。
昼食を持ってきてくれた看護師さんから、今日は昼から体拭きと髪を洗いますと言われた。体拭きは昨日体験したものの、ベッドから降りられないこの状況でどうやって洗うんだろうと思った。
昼食を食べてから小1時間位、体拭きと洗髪を昨日と同じく看護師さん2人で行ってくれた。体拭きを昨日と同じ感じでやってもらった後で洗髪に。
頭の下にいつものペットシーツみたいなのを敷き、更に大きなビニールを入院服が濡れないよ肩口からペットシーツみたいなのの上に敷かれた。軽く瞼を押さえられ、髪にお湯が注がれたら、後は美容室で髪を洗われるような感じで洗を洗われた。髪を洗われてる最中に、この3日間で一番聞きたかった新型コロナウイルスの状況について聞いた。感染がまだ拡大していると聞き、外は大変な状況なんだなと思ったのと、政府の対応も然ることながら、この国の臨床医療技術の高さでまだその程度ですんでるんだなぁと、この3日間で受けた看護と治療で実感した。
この3日間、意識がある中何も出来ずに色んな事が頭を過り、気の滅入る事ばかりで心が満たされそうになっていたけど、研修医さんの熱意に触れ、また髪を洗って貰ってスッキリしたからなのか、少しでも前を向こうと心に決めた。先ずはここから早く出られるように、皆さんの力を借りながら回復に専念する事と、お世話になってる医療スタッフの方々の名前を1人でも多く記憶に留めて、治った暁には御礼参りにここにまた訪れよう、と。
少し前向きになれた事で、ずっと出来なかった排泄をする為に浣腸してもらう事をお願いした。
処置して貰った後、ギリギリまで我慢して下さいと言われたのでもう駄目、というところまで我慢したらドロドロと紙おむつの中に出てきた。漏れ出してこないか心配になったが、パンパンになりながらも漏れることはなかった。人生初の浣腸体験は、世界でメイドインジャパンが売れる理由を改めて知る機会になった。
