身体障害者になった日③

妹夫婦が面会に訪れてくれて、開口一番今の状況を詫びた。妹の口から運ばれた理由が伝えられ、自分が夢だと思っていた事が全て現実だった事に気付かされた。そして、身内の誰に伝えているかと、所持品にあった書類から仕事関係と思われた方にはこの状況を伝えている、と。このあと幾つか言葉を交わしたのだが、頭の中で色々なことが駆け巡っていて何を話したのかは覚えていない。

もうそろそろ面会時間終わりだからと妹に言われ、薄々感じてはいたのだけれどここがICUかどうか確認したらそうだというので、やけに室内が明るいのと何となく感じる重苦しさに納得した。

妹夫婦が帰ってどれくらい経っただろう、言語療法士の方が来て、幾つか質問された後、水とゼリーがきちんと飲み込めるか確認され、特に問題が無いと言われた。言語療法士さんの診察の後、コルセットの採寸に業者の方が来た。胸囲と腹囲、あと脇の下から腰骨位までの長さを測られ、来週の火曜日に納品にあがると告げられ、カーテンの向こうに消えていった。医療用のコルセットがオーダーメイドなのを始めて知った。

様子を見に来てくれた看護師さんに毎回今何時かを聞き、思った程時間が過ぎていない事に少しウンザリしてたら担当医の先生が来て、現在怪我している部位がどれくらい痛いのかを10段階で表現して下さいと言われた。
咳などで体が動かなければ、左足以外は然程痛くはなかったのでその様に先生に伝えると、どんな些細な事でもいいので気になる事があれば我慢せずに看護師に伝えて欲しいと言われた。

ハッキリとした意識の中、ICUの重苦しい空間は中々時を前に進めてはくれず、度々時間を聞くので看護師さんからも「今日は時間が経つのが遅いですね。」と気を遣われてしまう始末。

それでもやがて時は経ち、ICUでも消灯の時間が訪れた。
静かに部屋の明かりが落ち、他の患者さんに取り付けられている、医療機器の出す警告音が不意に耳に入ったとき、ずっと堪えていたものを、警告音に紛れて吐き出した。

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